【保存版】ポストコロニアリズムをわかりやすく解説【批判も】

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目次

ポストコロニアリズムとは

重要度
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ポストコロニアリズムとは?

ポストコロニアリズムとは、ヨーロッパの植民地主義(植民地支配を正当化する考え方)の終了後を考察するものです。

支配されていた側の視点から、植民地主義を批判的に分析していきます。

1980年代から注目が高まっており、現代の歴史学に大きな影響を及ぼしています。

ポストコロニアリズムの功績

セバスティアン・コンラートによると、ポストコロニアリズムの功績は以下の3つです。

  • 文化の視点から世界を分析した
  • ヨーロッパ中心主義を批判した
  • グローバル化が自然なものではないと指摘した

以下で細かく見ていきましょう。

文化の視点から世界を分析した

1つ目の功績は「文化の視点から世界を分析した」です。

ポストコロニアリズムは文化への洞察力が高く、文化的遭遇(異なる文化の接触)の分析を得意としています。

これによって世界システム論(経済の視点から世界を分析する手法)などとは異なる、新たな発見をもたらすことができます。

ヨーロッパ中心主義を批判した

2つ目の功績は「ヨーロッパ中心主義を批判した」です。

ポストコロニアリズムは、世界はグローバルな関係性の中で構築されてきたと主張します。

これは「ヨーロッパは独自に発展した」と考えるヨーロッパ中心主義を批判し、修正を迫っています。

グローバル化が自然なものではないと指摘した

3つ目の功績は「グローバル化が自然なものではないと指摘した」です。

ポストコロニアリズムは、グローバル化には植民地主義が関わっていることを指摘しています。

これは経済視点の分析でありがちな「グローバル化は市場のはたらきで自然に進行した」という主張を批判し、重要な示唆を与えています。

代表的な研究者

エドワード・サイード

エドワード・サイード(1935-2003)はアラブ・パレスチナ人の英文学・比較文学者です。

イギリスの委任統治領だったパレスチナの出身で、オリエンタリズム研究に関心が高い人物です。

代表作は『オリエンタリズム』、『文化と帝国主義』などです。

ガヤトリ・スピヴァク

ガヤトリ・スピヴァクはインド出身の研究者です。

ポストコロニアリズムの視点からサバルタン・スタディーズ(植民地の従属階級の研究)を分析した人物です。

知識人がサバルタン(植民地の従属的階級)を正確に描くことの難しさを主張しました。

代表作は『サバルタンは語ることができるのか』、『ポスト植民地主義の思想』などです。

批判・問題点

政治的・経済的な構造を軽視している

1つ目の批判は、「政治的・経済的な構造を軽視している」というものです。

ポストコロニアリズムは文化に注目する研究であるため、このような側面が指摘されます。

植民地理解を単純化している

2つ目の批判は、「植民地理解を単純化している」というものです。

植民地支配にも様々な形態がありますが、ポストコロニアリズムはそれを一括りにする傾向があります。

そのため植民地理解を単純化していると批判されることがあります。

おすすめ本

ポストコロニアリズムのおすすめ本は?

エドワード・サイード『オリエンタリズム』、ガヤトリ・スピヴァク『サバルタンは語ることができるか』がおすすめです。

前者はポストコロニアリズムのきっかけとなった作品で、後者はサバルタン(植民地の従属的階級)についての重要な作品です。

オリエンタリズム

『オリエンタリズム』は1978年に発表されたエドワード・サイードの作品です。

オリエンタリズム(東洋を対象とした研究)を分析し、ヨーロッパの東洋の見方が歪んでいることを指摘しました。

世界中で話題となり、ポストコロニアリズムのきっかけとなった作品です。

サバルタンは語ることができるか

『サバルタンは語ることができるか』は1988年に発表されたガヤトリ・スピヴァクの作品です。

知識人がサバルタン(植民地の従属的階級)を正確に分析・叙述することはできないと主張し、サバルタン・スタディーズとポストコロニアリズムを合流させた一冊です。

この本への批判も多く、のちに著者のスピヴァクは「知識人がサバルタンを語ることができないと言ったことは得策ではなかった」という趣旨の発言をしています。

とはいえサバルタン・スタディーズの重要文献であり、一読しておきたい作品です。

おわりに

以下の記事では、歴史学をまとめて解説しています。

歴史学の基本をざっくり学びたい方は、こちらの記事もおすすめです。


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この記事を書いた人

■慶應義塾大学文学部日本史学専攻卒
■歴史学の本を年間100冊以上読む

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