【保存版】実証主義史学を解説【功績・批判・問題点】

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目次

実証主義史学とは

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実証主義史学とは

実証主義史学とは?

実証主義史学とは、史料批判(文献史料に書いてある情報の真偽の検討)などの実証作業を徹底し、正確な歴史叙述を目指す方法論です。

ドイツの歴史学者レオポルド・フォン・ランケの研究手法がルーツとなっており、いわゆるランケ学派とも関わりが深いです。

19世紀の歴史学界の主流派であり、現在の歴史学も大きく影響を受けています。

実証主義史学は2種類ある?

「実証主義史学」という言葉は、オーギュスト・コントの実証主義哲学に影響された歴史研究を表して使われることがあります。

しかしコント流の実証主義史学とランケ流の実証主義史学は異なり、むしろ対立するところがあります。

実際、ランプレヒト(コントの実証主義と関連がある歴史学者)がランケ派の歴史学者から批判を受けた事例などが知られています。

本記事ではコントに影響を受けた歴史学者については言及せず、後の歴史研究に大きな影響を与えたランケの実証主義史学について解説していきます。

特徴

特徴

実証主義史学の最大の特徴は、客観的で正確な歴史叙述を目標としている点です。

そして客観性と正確性を実現するためには、史科学と史料批判が重要となります。

  • 史料学 ・・・適切に史料(過去の出来事について書かれた一次情報)を収集・分類すること
  • 史料批判・・・史料の情報が正しいのか批判・検討すること

実証主義史学では、史料学と史料批判の2つの要素を通して、歴史的事実を明らかにしていきます。

学問上の功績

実証主義史学の功績は、客観性・正確性が高い歴史叙述を可能にしたところです。

これまでの歴史叙述では、事実の正確性に大きな問題がありました。

実証主義史学が台頭したことで、正確性の高い歴史叙述が可能となり、近代歴史学が成立していきました。

関連する歴史学者

レオポルト・フォン・ランケ

レオポルト・フォン・ランケ(1795-1886)はドイツの歴史学者です。

近代歴史学の創始者とされる人物で、「近代歴史学の父」とも呼ばれます。

史料批判の手法を完成させた人物であり、実証主義史学のルーツとも言える人物です。

ガブリエル・モノー

ガブリエル・モノー(1844-1912)はフランスの歴史学者です。

ドイツの大学で歴史学を学び、フランスに実証主義史学を普及させました。

『史学雑誌』の創刊や教育活動にも力を入れ、フランス歴史学の土台を作りました。

ルートヴィヒ・リース

ルートヴィヒ・リース(1861-1928)はドイツの歴史学者です。

ランケ学派に属する人物で、東京帝国大学に史学科を設置するなど明治期の日本に歴史学を普及させました。

日本の歴史学が実証主義史学の影響を受けて成立したのは、リースの影響も大きいです。

批判・問題点

批判・問題点

実証主義史学への批判として、以下の2つが挙げられます。

  • 政治史・事件史・軍事史などに研究対象が偏っている
  • そもそも客観的に歴史を解釈することは不可能である

事実の正確性を重視するあまり、研究対象が狭くなるところは実証主義史学の問題点です。

また客観的に歴史を解釈することの難しさを指摘する声もあります。

以下では、これらの問題点を指摘した「アナール学派」と「言語論的転回」について解説します。

アナール学派による批判

実証主義史学を批判し、その研究対象の狭さを克服したのがアナール学派(20世紀前半のフランスで誕生した歴史学の学派)です。

アナール学派は、地理学・経済学・社会学・言語学・人類学・心理学などの知見を取り入れ、歴史の研究対象を拡大していきました。

これによって社会史・心性史などの新分野が開拓され、歴史研究の政治史への偏りは改善されました。

言語論的転回による批判

実証主義史学の根本を否定し、客観的な歴史叙述の難しさを指摘したのが言語論的転回です。

言語論的転回は、人間の思想・認識は「言語」に影響されているという考えです。

この立場では、人間は事実を客観的に認識できず、「言語」に影響されて事実を認識することになります。

つまり客観的に史料を書く・読むということはできず、客観的な歴史叙述はできないことになります。

言語論的転回は、1970年頃から注目されるようになり、歴史学界に大きな影響を与えました。

おわりに

以下の記事では、歴史学をまとめて解説しています。

歴史学の基本をざっくり学びたい方は、こちらの記事もおすすめです。


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この記事を書いた人

■慶應義塾大学文学部日本史学専攻卒
■歴史学の本を年間100冊以上読む

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