【保存版】ミクロストリアをわかりやすく解説【特徴・歴史】

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目次

ミクロストリアとは

重要度
難易度
ミクロストリアとは?

ミクロストリアとは、とても狭い範囲を研究していく歴史学の方法です。

ひとつの村、ひとりの人間など、かなり限られた範囲を研究していきます。

1970年代のイタリアで生まれ、1980年以降に世界的に注目されていきました。

ミクロストリアの特徴・歴史

特徴

ひとつの村、ひとりの人間など、かなり狭い範囲を研究していきます。

通常は注目されないような特殊なものを研究対象とすることで、独自の分析を行います。

文学・絵画の研究からの影響も大きく、カルロ・ギンズブルグ(ミクロストリアを代表する歴史学者)は文献学者エーリヒ・アウエルバッハからの影響を明言しています。

歴史

前史
1958年

フランスの歴史学者フェルナン・ブローデルが「ミクロイストワール」という言葉を使用する。

ただしこの言葉は、狭い範囲の研究を否定する意味で使用された。

1959年

アメリカの研究者ジョージ・R・スチュワートが『ピケットの突撃―1863年7月3日、ゲティスバーグにおける最後の突撃のマイクロヒストリー』を発表する。

この作品において「マイクロヒストリー」という言葉が使用されたが、いわゆる「ミクロストリア」とは少し異なる。

1968年

メキシコの研究者ルイス・ゴンザレス・イ・ゴンザレスが『騒擾の村―サン・ホセ・デ・グラシアのミクロイストリア』を発表する。

この作品において「ミクロイストリア」という言葉が使用されたが、いわゆる「ミクロストリア」とは少し異なる。

1968年

イタリアの詩人アンドレーア・ザンゾットィの『美』において「ミクロストリア」という言葉が使用される。

ただし、歴史学における「ミクロストリア」とは異なる意味で使用されている。

ミクロストリア史
1976年

イタリアの歴史学者カルロ・ギンズブルグが『チーズとうじ虫』を発表する。

この著作は、ミクロストリアの代表的な作品である。

1980年代

『チーズとうじ虫』が英語やフランス語に翻訳され、世界的に注目を集めるようになる。

このあたりから、ミクロストリアの認知が広まっていく。

1981年

ミクロストリエ叢書の刊行が開始される。

これはエイナウディ出版(イタリアの出版社)によるシリーズで、20冊ほどのミクロストリアの作品が出版された。

カルロ・ギンズブルグ、ジョヴァンニ・レーヴィ、シモーナ・チェルッティの3人の研究者がこの叢書に関わった。

関連する歴史学者

カルロ・ギンズブルグ

カルロ・ギンズブルグ(1939-)はイタリアの歴史学者です。

ミクロストリアを代表する研究者であり、ミクロストリアの叢書を刊行した人物でもあります。

日本語訳されている作品も多く、手に取りやすいのも特徴です。

代表作は『チーズとうじ虫』、『夜の合戦』、『ピエロ・デッラ・フランチェスカの謎』です。

ジョヴァンニ・レーヴィ

ジョヴァンニ・レーヴィ(1939-)はイタリアの経済学者です。

前述のカルロ・ギンズブルグと並び、ミクロストリアを代表する研究者です。

しかし日本語訳されている作品がほとんどなく、接点を持ちにくいのが難点です。

代表作は『無形の遺産』、『村の権力』です。

おすすめ本

ミクロストリアの代表作は?

カルロ・ギンズブルグの『チーズとうじ虫』が代表的な作品として挙げられます。

これはミクロストリアの原点ともいえる作品で、歴史学界では広く認知されています。

チーズとうじ虫

『チーズとうじ虫』は1976年に発表されたカルロ・ギンズブルグの作品です。

16世紀イタリアのとある粉挽屋を研究し、その人物の独自の宗教観のルーツを探っていきます。

ミクロストリアの作品としては最も有名で、ページ数も少なく(日本語版は約250ページ)、挑戦しやすい一冊です。

おわりに

以下の記事では、歴史学をまとめて解説しています。

歴史学の基本をざっくり学びたい方は、こちらの記事もおすすめです。


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この記事を書いた人

■慶應義塾大学文学部日本史学専攻卒
■歴史学の本を年間100冊以上読む

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