『民族とナショナリズム』を書評【著者・内容・評価】

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目次

『民族とナショナリズム』とは

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『民族とナショナリズム』とは?

『民族とナショナリズム』は1983年に発表されたアーネスト・ゲルナーの作品です。

近代におけるナショナリズムの成立過程をシンプルに説明しました。

『想像の共同体』と並んで、ナショナリズム研究の古典とされています。

前提知識:ナショナリズムとは

ナショナリズムとは、国民(文化的に同質な人々の集団)を重視する思想・運動のことです。

独立した国民国家を形成しようとする思想・運動と定義されることもあります。

著者

この本の著者は、ユダヤ人の哲学者・社会人類学者アーネスト・ゲルナーです。

哲学・政治社会学・思想史・社会人類学などの幅広い知見を持ち、様々なジャンルの作品を遺した人物です。

代表作は『民族とナショナリズム』です。

内容

ナショナリズムの原因は「産業化」

本書の前半では、社会の産業化によってナショナリズムが生まれたと主張されます。

産業化された社会の特徴は以下の3つです。

  • 読み書き・計算・技術が重要となる
  • 人が流動的で、さまざまな職業に配置される
  • 大規模な学校教育が実施される

社会が産業化されることで、ナショナリズムが成立する基礎が築かれたとされます。

3種類のナショナリズム

本書の後半では、ナショナリズムが3種類に分類されます。

  • 西欧的ナショナリズム・・・高身分と低身分ともに教育レベルが高い
  • 東欧的ナショナリズム・・・高身分の教育レベルが高く、低身分の教育レベルが低い
  • ディアスポラ・ナショナリズム・・・高身分の教育レベルが低く、低身分の教育レベルが高い

各階級の教育レベルの違いにより、ナショナリズムの形態が異なることが主張されます。

少し単純すぎる区分でしょうが、簡潔でわかりやすいところは評価できます。

ナショナリズム研究における立ち位置

ナショナリズム研究の土台を作った

本書は1983年に発表され、ナショナリズムを明快に論じた作品として高く評価されました。

そして同年に発表された『想像の共同体』とともに、ナショナリズム研究が勢いづくきっかけを作りました。

これ以降、数多くのナショナリズムを研究した著作が発表されていきました。

評価

民族とナショナリズム
総合評価
( 4 )
メリット
  • ナショナリズムの成立についての鋭い視点が得られる
  • ページ数が少なく、挑戦しやすい
デメリット
  • 理論的な考察が中心で、歴史的な実例はあまり扱っていない

ナショナリズムの成立について論じた作品です。

ナショナリズム研究の重要文献であり、現在でも広く読まれています。

約240ぺージと短く、背景知識もそこまで必要ないので、古典作品ながら挑戦しやすいでしょう。

ただし理論的な考察が中心となっており、歴史的な実例があまり紹介されていないため、少し綺麗にまとまりすぎている印象もあります。

ナショナリズムの入門におすすめ

本書はナショナリズムの入門におすすめです。

古典ながらもページ数が少なく、議論もシンプルです。

この分野に興味がある人は、本書から入ってみるのも良いでしょう。

『想像の共同体』『ネイションとエスニシティ』とあわせて読むのも◎

本書は、『想像の共同体』『ネイションとエスニシティ』などのナショナリズム研究書とも相性が良いです。

これらの書籍をあわせて読み、さらにナショナリズムへの理解を深めるのもおすすめです。


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おわりに

以下の記事では、歴史学をまとめて解説しています。

歴史学の基本をざっくり学びたい方は、こちらの記事もおすすめです。


参考文献

アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』加藤節監訳,岩波書店,2000.
大澤真幸編『ナショナリズム論の名著50』平凡社,2002.
大澤真幸・姜尚中編『ナショナリズム論・入門』有斐閣,2009.

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この記事を書いた人

■慶應義塾大学文学部日本史学専攻卒
■歴史学の本を年間100冊以上読む
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