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『想像の共同体』とは
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- 『想像の共同体』とは?
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『想像の共同体』は1983年に発表されたベネディクト・アンダーソンの作品です。(1991年に増補)
ナショナリズム研究の古典で、現在でも非常に人気のある作品です。
前提知識:ナショナリズムとは
ナショナリズムとは、国民(文化的に同質な人々の集団)を重視する思想・運動のことです。
独立した国民国家を形成しようとする思想・運動と定義されることもあります。
著者
この本の著者は、ベネディクト・アンダーソン(1936-2015)です。
中国生まれで、アイルランド人の母とイギリス人の父を持ちます。
東南アジアの政治・政治史を専門とし、主にコーネル大学で活動しました。
代表作は『想像の共同体』、『比較の亡霊』などです。
目次
本書の目次は以下の通りです。
Ⅰ 序
Ⅱ 文化的根源
Ⅲ 国民意識の起源
Ⅳ クレオールの先駆者たち
Ⅴ 古い言語、新しいモデル
Ⅵ 公定ナショナリズムと帝国主義
Ⅶ 最後の波
Ⅷ 愛国心と人種主義
Ⅸ 歴史の天使
Ⅹ 人口調査、地図、博物館
Ⅺ 記憶と忘却
〔Ⅰ〕~〔Ⅲ〕は、国民・ナショナリズムを分析し、議論の前提を整えています。
〔Ⅳ〕~〔Ⅶ〕は、4種類のナショナリズムについて解説しており、ナショナリズムの歴史を概観しています。
〔Ⅷ〕、〔Ⅸ〕は、ここまでの内容に補足を加えつつ、議論をまとめています。
〔Ⅹ〕、〔Ⅺ〕は、増補版(1991年発表)から追加された章で、内容の補足を行っています。
内容
国民は「想像の共同体」である
本書では、国民は「想像の共同体(創られた虚構)」であると指摘されています。
国民は古来から存在するものでもなく、形成される必然的な理由もないと考えられます。
4つのナショナリズム
本書では、ナショナリズムを4つに分類しています。
「クレオール・ナショナリズム」は、アメリカ大陸のクレオール(植民地生まれの白人)が主導したもので、ナショナリズムの最古の例として挙げられています。
「俗語ナショナリズム」は、ヨーロッパの民衆による下からのナショナリズムで、出版語が重要な役割を果たしました。
「公定ナショナリズム」は、支配者による上からのナショナリズムで、俗語ナショナリズムへの抵抗として発生しました。
「植民地ナショナリズム」は、アジアやアフリカの植民地で発生したもので、先の3つのナショナリズムを複合して形成されました。
評価
総合評価
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- ナショナリズムへの理解が深まる
- ページ数が多すぎない
- やや難易度が高い
ナショナリズムや国民について分析し、その歴史をまとめた作品となっています。
ナショナリズム研究の古典として高い評価を得ており、歴史学の必読書として扱われることも多い一冊です。
ページ数も400ページ弱なので、多くの人が取り組みやすいでしょう。
ただし内容の難易度はやや高いので、読みにくさを感じるかもしれません。
ナショナリズムを本気で勉強したい人は必読
ナショナリズムの研究のなかで『想像の共同体』への言及は頻繫に行われます。
この分野を本気で勉強するなら、本書の理解は避けられないでしょう。
ナショナリズムに興味がある人は、本書を読んでおくのがおすすめです。
『民族とナショナリズム』『ネイションとエスニシティ』とあわせて読むのも◎
ナショナリズムへの理解をさらに深めたい場合は、『民族とナショナリズム』や『ネイションとエスニシティ』などの作品もおすすめです。
これらはこの分野の重要文献であり、あわせて読むことで新たな視点が得られるでしょう。
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おわりに
本書は、当サイトの「歴史学のおすすめ本7選」に選出されています。
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