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近代世界システムとは
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- 『近代世界システム』とは?
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『近代世界システム』は1974年に発表されたイマニュエル・ウォーラーステインの作品です。
世界経済の分析手法として有名な世界システム論の代表作で、歴史学の必読書とされることもある名著です。
著者
この本の著者は、アメリカの社会学者・歴史学者イマニュエル・ウォーラーステイン(1930-2019)です。
ウォーラーステインは世界システム論を提唱し、歴史学に大きな影響を与えた人物です。
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内容
世界経済を3エリアに分類
本書では、世界各地を「中核」・「半周辺」・「周辺」の3つに分類して解説していきます。
- 「中核」 ・・・世界経済の中心地。経済的に豊かなことが多い。
- 「半周辺」・・・「中核」と「周辺」の中間にあたる地域。
- 「周辺」 ・・・食料や資源の供給地。低賃金労働や強制労働が行われることもある。
この分類が本書の大きな特徴です。
近代世界システムⅠ:世界システムの成立/スペイン・ポルトガルの繁栄
近代世界システムの第1巻では、「世界システムの成立」と「スペイン・ポルトガルの繁栄」が扱われます。
年代としては1450年~1640年頃を対象とし、当時のヨーロッパ諸国とラテンアメリカ植民地の状況を中心に解説しています。
近代世界システムⅡ:世界システムの収縮/オランダの繁栄
近代世界システムの第2巻では、「世界システムの収縮」と「オランダの繁栄」が扱われます。
年代としては1600年~1750年を対象とし、世界経済が停滞する中でのオランダの繁栄とイギリス・フランスの台頭を解説しています。
近代世界システムⅢ:世界システムの拡大/イギリスの繁栄
近代世界システムの第3巻では、「世界システムの拡大」と「イギリスの繁栄」が扱われます。
年代としては1730年~1840年代を対象とし、インド・オスマン帝国・ロシア・西アフリカの世界システムへの編入とイギリスの繁栄を解説しています。
近代世界システムⅣ:自由主義
近代世界システムの第4巻では、「自由主義」が扱われます。
年代としては1789年~1914年を対象とし、当時のイデオロギーを解説しています。
批判・問題点
ヨーロッパ中心的である
1つ目の批判は「ヨーロッパ中心的である」というものです。
ウォーラーステインは、世界システムはヨーロッパで生まれたものと考えており、世界システムの中心をヨーロッパに置いています。
実際、ヨーロッパ経済の分析が本書の大半を占めています。
これに対して、アンドレ・グンダー・フランクの『リオリエント』などアジアの重要性を主張する批判があります。
これはウォーラーステインの世界システム論への重要な批判であり、議論が白熱しています。
政治・文化・軍事・環境を無視している
2つ目の批判は「政治・文化・軍事・環境を無視している」というものです。
これについてウォーラーステインは、政治や文化については『近代世界システム』の第2巻や第4巻で言及しており、軍事や環境については第1巻で言及していると反論しています。
しかし世界システム論は経済を中心に考えるものであり、少なくとも分析が経済中心に偏ることは否定できないところです。
評価
総合評価
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- 近代ヨーロッパの経済史を徹底的に理解できる
- 経済の視点から近代ヨーロッパの政治的な出来事を学び直せる
- ページ数がとても多い(約400ページ×全4巻)
15世紀~20世紀のヨーロッパ経済を研究した作品です。
世界システム論の古典で、歴史学の必読書とされることも多いです。
難易度はやや高いですが、高校の教科書レベルの背景知識があれば十分読むことができます。
ただしページ数が非常に多いため(約400ページ×4巻)、読むのに時間がかかるのはデメリットです。
経済史を学びたい人におすすめ
本書は、経済史を学びたい人におすすめです。
ボリュームは多いものの、15世紀以降のヨーロッパ経済史を深く理解できます。
経済史に興味がある人は、ぜひ本書を読んでみてください。
世界システム論の必読書
本書は世界システム論の古典であり、この分野を本気で学ぶなら押さえておきたい作品です。
本書を読むことで、15世紀以降のヨーロッパ経済を深く理解しつつ、世界システム論の考え方を身に付けることができます。
また余裕がある人は、『ヨーロッパ覇権以前』や『リオリエント』などの当該分野の重要文献とあわせて読むのもおすすめです。
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おわりに
本書は、当サイトの「歴史学のおすすめ本7選」に選出されています。
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