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ヨハン・ホイジンガとは
影響力 | |
作品 |
- ヨハン・ホイジンガとは?
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ヨハン・ホイジンガ(1872-1945)はオランダの歴史学者です。
中世ヨーロッパの文化史を得意とする人物で、20世紀最大の歴史家とも評価されます¹。
経歴
出生~学生時代
- 1872年
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オランダのフローニンゲンに生まれる。
父親はフローニンゲン大学の生理学教授であった。
- 1891年
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フローニンゲン大学に入学する。
オランダ文学を専攻する。
さらにインド哲学にも興味を持つ。
- 1895年
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ドイツ・ライプツィヒに留学する。
高等学校・大学の教員時代
- 1897年
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ハーレムの実科高等学校の歴史教師となる。
- 1903年
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アムステルダム大学の私講師となる。
古代インド思想を担当した。
この頃、歴史史料の整理に関わるようになり、歴史研究を開始する。
- 1905年
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初の歴史論文である『ハーレム市の起源について』を発表する。
フローニンゲン大学の歴史学の教授となる。
- 1914年
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『フローニンゲン大学史』を発表する。
- 1915年
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ライデン大学の教授となる。
- 1919年
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『中世の秋』を発表する。
- 1924年
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『エラスムス』を発表する。
- 1927年
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『ヤン・フェートの生涯と作品』を発表する。
- 1932年
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ライデン大学の教授団議長となる。
- 1933年
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『文化における遊戯と真面目の境界』、『17世紀ネーデルランド文化』を発表する。
- 1935年
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『明日の影の中で』を発表する。
- 1938年
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『ホモ・ルーデンス』を発表する。
- 1940年
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第二次世界大戦でオランダがドイツ軍に占領される。
これにより、ライデン大学が閉鎖される。
晩年
- 1942年
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ドイツに抵抗を示し、人質として強制収用所に送られる。
- 1943年
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自伝『わが歴史への道』を発表する。
- 1945年
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死亡する。
特徴
特徴
中世ヨーロッパの文化史の研究を得意としてます。
それまで停滞期として否定的に扱われていた中世を再評価し、中世の重要性を説きました。
文化史の大家であるヤーコプ・ブルクハルトの名を冠して「20世紀のブルクハルト」と呼ばれることもあります。
歴史学だけでなく言語学にも精通しており、ヘブライ語・アラビア語・スラブ語・サンスクリットなどを得意とします。
また歴史家には心理的洞察力が必要であり、芸術家と共通点があると考えました。
過去の人間の精神などを研究した点では、アナール学派(幅広い歴史研究を行うフランスの学派)の心性史研究に先行する人物でもあります。
ホイジンガとシュペングラー
ホイジンガはオスヴァルト・シュペングラーについて何度か言及しています。
シュペングラーは西洋の没落を予言したドイツの歴史学者です。
ホイジンガは、シュペングラーの多くを批判しつつも、進歩史観(時代とともに社会は進歩していくという考え)に異議を唱えたところを評価しました。
シュペングラーとの関連は不明ですが、ホイジンガは『ホモ・ルーデンス』において19世紀以降のヨーロッパを悲観しており、主張が被るところがあります。
ホイジンガの「遊び」
- ホイジンガの「遊び」とは?
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ホイジンガの「遊び」とは、自分の意思で行う、生活に必要ない、独自のルールを持つ活動のことです。
ホイジンガの研究テーマの一つであり、代表作の『ホモ・ルーデンス』にまとめられています。
以下では、ホイジンガの「遊び」をくわしく解説していきます。
「遊び」の条件
ホイジンガは「遊び」の条件として以下の3つを挙げています。
- 自由な行動である
→その活動を自分の意思で行っているのか。命令された活動や強制された活動ではないのか。 - 日常生活から区分される
→その活動が現実社会と関係がないのか。生活するために必要な活動ではないのか。 - 時間的・空間的に制限されている
→その活動に固有のルールがあるのか。秩序や規則があるのか。
ホイジンガは、これらの条件を満たす活動を「遊び」と定義しました。
「遊び」の必要性
「遊び」は文化を存続させるうえで必要だとされています。
「遊び」は原始社会から存在しており、社会から「遊び」の要素がなくなることは危険だとされています。
ホイジンガは19世紀以降の社会において「遊び」の要素が無くなりつつあることを指摘し、危険視しました。
代表作
- ヨハン・ホイジンガの代表作は?
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『中世の秋』がよく知られています。
これは中世末期のフランスやネーデルラントの文化史を研究した名著です。
その他には『エラスムス』、『ホモ・ルーデンス』などが有名です。
中世の秋
『中世の秋』は、1919年に発表されたヨハン・ホイジンガの作品です。
14・15世紀のフランスやネーデルラントを研究対象とした文化史の作品です。
中世末期の人々の価値観を研究しつつ、この時代の芸術作品にも言及していきます。
文化史の古典的名著で、現在でも読み継がれています。
エラスムス
『エラスムス』は、1924年に発表されたヨハン・ホイジンガの作品です。
デジデリウス・エラスムス(宗教改革に影響を与えたことでも知られるオランダの人文主義者)を研究対象とし、その生涯を叙述しました。
20世紀のオランダを代表する歴史学者ホイジンガが、オランダの偉人エラスムスを描いた注目度の高い一冊です。
エラスムスを原点とするオランダ精神についても述べられており、ホイジンガがどのようにエラスムスを捉えていたのかを知ることができます。
ホモ・ルーデンス
『ホモ・ルーデンス』は、1938年に発表されたヨハン・ホイジンガの作品です。
「遊び」を研究対象とし、人間の諸活動を「遊び」を通して説明しました。
ヨーロッパの社会情勢に危機感を持っていたホイジンガが、第一次世界大戦の直前に発表した一冊です。
18世紀までのヨーロッパ諸社会では「遊び」の要素が豊富だった一方で、19世紀以降は「遊び」が失われつつあることを指摘しました。
おわりに
ヨハン・ホイジンガは、当サイトの「有名な歴史学者7選」に選出されています。
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