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ヨーロッパ覇権以前とは
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- 『ヨーロッパ覇権以前』とは?
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ヨーロッパ覇権以前は1989年に発表されたジャネット・リップマン・アブー・ルゴドの作品です。
13世紀頃のヨーロッパ・中東・アジアの交易システムを研究しました。
いわゆる「13世紀世界システム」についての重要な作品です。
著者
この本の著者は、アメリカの社会学者ジャネット・リップマン・アブー・ルゴドです。
都市社会学や都市史を得意とする人物です。
代表作は『ヨーロッパ覇権以前』です。
内容
13世紀の世界経済
13世紀には、ヨーロッパ・中東・アジアをつなぐ世界的な交易システムが存在していました。
本書は、その13世紀の世界経済を網羅的に解説していきます。
ヨーロッパ、中東、アジアをそれぞれ詳しく分析していくことで、当時の状況を深く理解することができます。
世界システム論の研究における立ち位置
世界システム論とは
世界システム論とは、世界経済を一つのシステムとして捉えて分析するものです。
一国単位の分析ではなく、各地域の関係性を分析していきます。
世界システム論への影響
『近代世界システム』(1974年発表の世界システム論を提唱した作品)では、近代ヨーロッパで資本主義経済が成立したと考え、15世紀以降を研究対象としました。
一方で『ヨーロッパ覇権以前』は、13世紀にも世界的な交易システムが存在したことを主張し、また中東やアジアの存在感が大きかったことを示唆しました。
『ヨーロッパ覇権以前』は近代ヨーロッパに偏りがちだった世界システム論研究の視野を広げ、世界システムにおけるアジアの重要性を指摘した『リオリエント』などの作品が誕生する土台をつくりました。
評価
総合評価
- 13世紀の世界経済を深く理解できる
- 文章がわかりやすい
- 地名・王朝名などの背景知識が必要である
13世紀の世界経済を解説した作品です。
13世紀のヨーロッパ・中東・アジアの経済の特徴と結びつきがまとめられています。
地名・王朝名などの背景知識がないと理解しにくいところもありますが、文章自体はわかりやすくて読みやすいです。
経済史を学びたい人におすすめ
本書は、経済史を学びたい人におすすめの作品です。
13世紀は中世経済の最盛期であり、本書は前近代の世界経済史の理解にとても役立ちます。
経済に興味がある人は、ぜひ本書を読んでみてください。
世界システム論の必読書
本書は、世界システム論における前近代アジアの重要性を主張した功績があります。
この分野は近代ヨーロッパ経済が中心となっていましたが、本書の発表以降はアジアの重要性を説く作品が増えました。
世界システム論を深く勉強したい人も、本書を読んでおくのがおすすめです。
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おわりに
以下の記事では、歴史学をまとめて解説しています。
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