『チーズとうじ虫』を書評【著者・内容・評価】

【大好評】歴史学の基本を5分で学べる無料記事はこちら↓

目次

『チーズとうじ虫』とは

必読レベル
難易度
『チーズとうじ虫』とは?

『チーズとうじ虫』は1976年に発表されたカルロ・ギンズブルグの作品です。

あるイタリアの一般人を研究した作品で、ミクロストリア(とても狭い範囲を研究していく歴史学の方法)を代表する名著です。

背景知識:ミクロストリアとは

ミクロストリアとは、とても狭い範囲を研究していく歴史学の方法です。

ひとつの村、ひとりの人間など、かなり限られた範囲を研究していきます。

研究範囲を小さく限定することで、独自の視点から歴史を分析することができます。

著者

この本の著者は、イタリアの歴史学者カルロ・ギンズブルグ(1939-)です。

ギンズブルグはミクロストリア(とても狭い範囲を研究していく歴史学の方法)を得意とする人物です。

代表作は『チーズとうじ虫』、『夜の合戦』、『ピエロ・デッラ・フランチェスカの謎』などです。

内容

とあるイタリアの粉挽屋を研究

本書の研究対象は、16世紀イタリアの粉挽屋であるメノッキオ(本名:ドメニコ・スカンデッラ)という人物です。

メノッキオはキリスト教徒ながら、独自の宗教観を持っていました。

メノッキオが異端審問(キリスト教の裁判)にかけられる様子を描きつつ、メノッキオの宗教観が生まれた背景を分析していきます。

16世紀イタリアの文化がみえてくる

メノッキオという一人の人間を研究することで、最終的には16世紀イタリアの文化がみえてきます。

メノッキオの独自の宗教観の背景にある、16世紀イタリアの文化的状況が明らかになっていきます。

評価

総合評価

チーズをうじ虫
総合評価
( 4 )
メリット
  • ミクロストリアを体験できる
  • ストーリーがあり、小説のように楽しめる
  • ページ数が少ない

メノッキオ(16世紀イタリアのフリウリ地方で粉挽屋をしていた人物)について研究した作品です。

ごく限られた範囲を研究するミクロストリアの作品としては、とても有名な一冊です。

ページ数も少ない(約250ページ)ので、気軽に挑戦しやすいのも良いところです。

また歴史学の作品ながら、小説のようなストーリーを楽しむこともできます。

次々と謎が明らかになっていくミステリー小説のような展開は魅力的で、また終盤の展開には驚かされます。

ミクロストリアの入門としておすすめ

本書はミクロストリアの代表作でありながら、平易で読みやすい作品となっています。

背景知識もあまり必要ないため、ミクロストリアの最初の一冊としておすすめです。

まだミクロストリアの作品を経験していない人は、ぜひ本書を読んでみてください。


『チーズとうじ虫』の日本語版をAmazonで確認する

おわりに

本書は、当サイトの「歴史学のおすすめ本7選」に選出されています。

歴史学の代表的な作品に興味がある方は、こちらの記事もおすすめです。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

■慶應義塾大学文学部日本史学専攻卒
■歴史学の本を年間100冊以上読む

目次