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ウィリアム・ハーディー・マクニールとは
影響力 | |
作品 |
- ウィリアム・ハーディー・マクニールとは?
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ウィリアム・ハーディー・マクニール(1917-2016)はアメリカの歴史学者です。
大きなスケールの歴史研究に定評があり、一冊であらゆる場所・時代を描いていく作品を得意としてます。
経歴
出生~学生時代
- 1917年
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カナダ・バンクーバーに生まれる。
- 1938年
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シカゴ大学で学士号を取得する。
- 1939年
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修士号を取得する。
その後、アメリカ陸軍として第二次世界大戦に参戦する。
- 1944年
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アテネのアメリカ大使館の駐在武官候補官となる。
- 1947年
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コーネル大学で博士号を取得する。
シカゴ大学の教員時代
- 1947年
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シカゴ大学の教員となる。
- 1963年
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『西洋の勃興』が発表される。
- 1967年
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『世界史』が発表される。
- 1976年
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『疫病と世界史』が発表される。
- 1982年
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『力の追求』(邦題:『戦争の世界史』)が発表される。
晩年
- 2016年
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死亡する。
特徴
特徴
研究対象がとても広く、あらゆる視点を否定しない寛容な姿勢が特徴です。
あらゆる地域・時代を一冊で扱ったような大きなスケールの作品が多いです。
人類学から影響を受けており、最も影響を受けた研究者としてロバート・レッドフィールド(シカゴ大学の人類学者)を挙げています。
シュペングラーとトインビーとの比較
マクニールは、オスヴァルト・シュペングラー(ドイツの歴史学者)やアーノルド・J・トインビー(イギリスの歴史学者)の系譜に位置づけられることがあります。
シュペングラーは、いかなる文明も成長~衰退のサイクルを経験して滅亡することを主張した人物です。
トインビーは、20以上の文明を研究し、各文明の成長と衰退の法則を描き、あらゆる文明の崩壊を示唆した人物です。
これらの2人の歴史学者と共通して、マクニールも文明という言葉を使用し、異なる時代・地域の類似した部分を探求していきます。
しかしマクニールは、歴史にサイクルや法則性があるとは考えておらず、既存の文明の衰退・滅亡を主張することもありません。
歴史に法則性があるとするシュペングラーやトインビーの作品は批判されやすい一方で、マクニールの作品は容認されやすいものとなっています。
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』への評価
マクニールは、ジャレド・ダイアモンドの代表作『銃・病原菌・鉄』を批評しています。
『銃・病原菌・鉄』は歴史における感染症や地理的環境について論じた作品で、マクニールの『疫病と世界史』に影響を受けてたものです。
マクニールは、文化・経済などの要因が環境に変化をもたらすことを確認したうえで、環境決定論(自然環境によって社会の様相が決定されるとする理論)を主張した『銃・病原菌・鉄』を批判しました。
代表作
西洋の勃興
『西洋の勃興』は、1963年に発表されたウィリアム・ハーディー・マクニールの作品です。
世界の歴史を「紀元前6500年~紀元前500年」・「紀元前500年~1500年」・「1500年~」の3つの時代に分けて描きつつ、ヨーロッパ文明の台頭を描きました。
全米出版賞を受賞したマクニールの代表作です。
ただし現在ではヨーロッパ中心主義であると批判されることもあり、やや内容が古い印象です。
世界史
『世界史』は、1967年に発表されたウィリアム・ハーディー・マクニールの作品です。
前述した『西洋の勃興』をベースにした学生向けの教科書であり、古代~現代の世界の歴史が描かれました。
出版後も複数回の改訂が行われており、内容がアップデートされていくのも特徴です。
内容はやや旧世代的ですが、日本市場でロングセラーとなっている一冊です。
疫病と世界史
『疫病と世界史』は、1976年に発表されたウィリアム・ハーディー・マクニールの作品です。
先史時代~現代までの疫病の歴史をまとめ、疫病がいかに社会に影響を及ぼすのかを論じました。
疫病史研究の古典とされており、現在の歴史学界でも広く読まれています。
力の追求(邦題:戦争の世界史)
『力の追求』は、1982年に発表されたウィリアム・ハーディー・マクニールの作品です。
日本では『戦争の世界史』というタイトルで知られています。
古代~現代までの戦争・軍事の歴史をまとめた作品で、特にヨーロッパの軍事の発展について詳しく論じられています。
おわりに
以下の記事では、歴史学をまとめて解説しています。
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