『近代世界システム』を書評【著者・内容・評価】

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目次

近代世界システムとは

必読レベル
難易度
『近代世界システム』とは?

『近代世界システム』は1974年に発表されたイマニュエル・ウォーラーステインの作品です。

世界経済の分析手法として有名な世界システム論の代表作で、歴史学の必読書とされることもある名著です。

著者

この本の著者は、アメリカの社会学者・歴史学者イマニュエル・ウォーラーステイン(1930-2019)です。

ウォーラーステインは世界システム論を提唱し、歴史学に大きな影響を与えた人物です。

内容

世界経済を3エリアに分類

本書では、世界各地を「中核」・「半周辺」・「周辺」の3つに分類して解説していきます。

これが歴史学の研究に大きな影響を与えた「世界システム論」の考え方になっています。

近代の経済を分析

本書では、1450年~1914年の世界経済を分析していきます。

各時代ごとの世界経済の変化などを理解することができます。

批判・問題点

ヨーロッパ中心的である

1つ目の批判は「ヨーロッパ中心的である」というものです。

ウォーラーステインは、世界システムはヨーロッパで生まれたものと考えており、世界システムの中心をヨーロッパに置いています。

実際、ヨーロッパ経済の分析が本書の大半を占めています。

これに対して、アンドレ・グンダー・フランクの『リオリエント』などアジアの重要性を主張する批判があります。

これはウォーラーステインの世界システム論への重要な批判であり、議論が白熱しています。

政治・文化・軍事・環境を無視している

2つ目の批判は「政治・文化・軍事・環境を無視している」というものです。

これについてウォーラーステインは、政治や文化については『近代世界システム』の第2巻や第4巻で言及しており、軍事や環境については第1巻で言及していると反論しています。

しかし世界システム論は経済を中心に考えるものであり、少なくとも分析が経済中心に偏ることは否定できないところです。

評価

総合評価

近代世界システム
総合評価
( 5 )
メリット
  • 近代ヨーロッパの経済史を徹底的に理解できる
  • 経済の視点から近代ヨーロッパの政治的な出来事を学び直せる
デメリット
  • ページ数がとても多い(約400ページ×全4巻)

15世紀~20世紀のヨーロッパ経済を研究した作品です。

世界システム論の古典で、歴史学の必読書とされることも多いです。

難易度はやや高いですが、高校の教科書レベルの背景知識があれば十分読むことができます。

ただしページ数が非常に多いため(約400ページ×4巻)、読むのに時間がかかるのはデメリットです。

経済史を学びたい人におすすめ

本書は、経済史を学びたい人におすすめです。

ボリュームは多いものの、15世紀以降のヨーロッパ経済史を深く理解できます。

経済史に興味がある人は、ぜひ本書を読んでみてください。

世界システム論の必読書

本書は世界システム論の古典であり、この分野を本気で学ぶなら押さえておきたい作品です。

本書を読むことで、15世紀以降のヨーロッパ経済を深く理解しつつ、世界システム論の考え方を身に付けることができます。

また余裕がある人は、『ヨーロッパ覇権以前』や『リオリエント』などの当該分野の重要文献とあわせて読むのもおすすめです。


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おわりに

本書は、当サイトの「歴史学のおすすめ本7選」に選出されています。

歴史学の代表的な作品に興味がある方は、こちらの記事もおすすめです。


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この記事を書いた人

■慶應義塾大学文学部日本史学専攻卒
■歴史学の本を年間100冊以上読む

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